PTA・地域活動に悩む母親達
幼稚園、小学校、中学校など親も積極的に子供の学校教育にかかわるべきだということで、親世代の子供時代とは比較にならないほど両親(特に母親)が学校行事に参加することが多くなっています。また、地域住民の連帯感を強化するため様々町内の地域役員の負担も増加傾向にあるとの印象を持っています。マスコミ報道、世間の常識ではそうした活動を強化すべきとの論調で一致していますが、物事には必ず功罪があるわけで、PTA、子供会、地域役員、消防団等の活動に負担感を感じ、それが大きなストレスとなっている方が実は相当多いことは驚くばかりです。
役員決め前より相当不安が高まります、女性に関しては少なからず当院受診の理由としてこうした活動に関するものです。母親としては自分の子供が学校に行っている以上、良い母親を演じなければならず、不満があっても文句も言えない弱い立場にあります。(もちろん開き直って文句ばっかり言っている人もいますが)確かに子供はそうした教育理論で健康に育っている面もあるかと思いますが、それでも親に対しては過剰な負担となっていることも学校関係者は考慮すべきです。
そういう活動が好きな人、得意な人、やれば出来る人もいますがやっぱりどうしても苦手な人、できない人もいることを理解すべきです。もちろんそうした線引きが簡単にできるわけではありませんが、最初にPTA活動・地域活動ありきという常識はそろそろ修正すべき時期に来ているのではないかと思います。親の事情を細かく配慮した運営が望まれます。
当院では過剰な負担となっていると判断した場合は、診断書を書いて負担軽減となるように対応しています。
子供の虐待に関する事件が毎日のように報道されていますが、それが形式的なPTA活動・地域活動の強化によって解決されるとは到底考えられません。子供の虐待は、親の人格的問題に起因する場合が多いと推測され、楽観的見通しはできないと思います。むしろそうした活動が母親のストレスを高め、結果として虐待を誘引しているケースもあるのではないかと考えます。