院長のこだわり
「こだわり」という言葉は世間一般ではプラスのイメージがあるようです。例えば料理のこだわりの一品とか、スポーツ選手・芸術家・俳優・歌手で成功している人は多くはこだわりが強い人です。しかしこだわりが強く、それで自分自身生き難い生活をしている方も多く、患者さんの中にも少なくありません。発達障害と関連があると推測しています。つまり、こだわりはプラスとなる場合も、マイナスとなる場合もあるわけです。
僕自身軽度の発達障害と思いますのでこだわりがあります、時間に対するこだわりです。待ち時間、待ち合わせ時間、無駄な時間、一日のスケジュール時間などです。今回は日頃の診療において時間に対する僕のこだわりが反映されていることを説明します。
僕は待つこと、人が多くて混んでいることが大嫌いです(嫁さんによると異常とのことですが)。待ち時間が長いと思ったら中止します、テレビのグルメ番組でよく特集される一時間以上待ってやっと食べられるこだわりの料理などは考えられません。
それで僕のこだわりにより、当院受診の患者さんに待たせてはいけないと思い、毎日相当な努力・配慮をして極力診察待ち時間ゼロを目指しています。医者としての仕事というよりも、患者サービスに力を入れているわけですが、サラリーマン時代の日本IBMで学んだマーケッティングセンスによるものと勝手に解釈しています。それでは完全予約制にすればすむことですが、ここにも役所による規制がありそれは認められていません。現在の常識では意味のない規制と思いますが、そんなことで役所による不必要な注意指導・懲罰を受けるのも困りますから、違反しないように配慮しています。初診の方は一時間ほどかかりますので完全予約制です。
それでも、予約で混んでいる時は細心の注意を払いながらも、想定外に診察時間が長くかかったりすると待ち行列ができてしまい、他の患者さんに迷惑をかけてしまいます。サッカーで言うとディフェンスラインがくずれた状態です。患者さんの状況によっては診察時間が長くなるのは当たり前のことで仕方ないと思っていますが、僕としては焦ってしまいます。
精神科医療においてはどうしても時間がかかるのは避けがたく、患者さんの待ち時間に配慮しないと4、5人の患者さんが同じ時間に受診するとそれだけで一時間ぐらいの待ち時間が生じます。これでは就労している方、主婦の方などには我慢できない待ち時間と思います。よく大学病院などで三時間待ちの三分診療と言われますが、そんなに患者さんが多いわけではなく、待ち行列に対する配慮がないからだと思います。
僕の時間に対するこだわりは患者サービスになっていますが、その裏での予約受付のスタッフの努力はあまり知られていないかもしれません。