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2017年11月26日 [心療内科・精神科]

うつ病は早期対応策が重要

 うつ病は早期発見・治療が重要なのは当然として、早期の対応策が大切です。患者さんが休職に追い込まれるのを防ぐのが目的です。これは個人だけではできませんので雇用者側の積極的な協力が必要です。大企業では健康管理室があったりして、保健師、産業医の先生も常駐していますので対応策はスムーズに実施されると思いますが、それ以外では経営トップの意識改革と協力が必要になると思います。

 

最近の当院受診者でうつ病と診断される方の、若年化が進み30代の前半の方が増えたような印象を持っています(当方時間がないため正確な数字は出していませんが)。その年代に一番負担がかかる従業員の年齢構成になっているのではないかと推測しています。対応策と言っても特別なものではなく、仕事上の負担を軽減することです。勤務時間を短縮したり、人事異動等で本人の負担を減らすことです。これはできそうで意外とできないものです、患者さん本人が納得しない場合も少なくありません。確かに現在の雇用状況では、そんなことを言い出せば失職する可能性もあるわけですから仕方ないとも思いますが。

 

「完全に治るまでゆっくり休みなさい。」という精神科医や会社も多いのですが、それは医者の誤解であり、会社都合のセリフです。長期間休職することのデメリットを考慮していないだけでなく、休めばうつ病は必ず治るという誤った認識に基づくものです。確かに中等度以上に進行した場合は休職、入院も必要な場合もあります。しかし、外科でいうと不必要な手術をされた患者さんが当然不満を持つのと同じです。休職すればある程度の期間までは改善しますが、それ以後いくら休職期間を長くしても回復せず、停滞する飽和点が来ることは少なからずあります。2年も3年も休職しても失業の心配をしなくてすむのは公務員だけです。

 

入院治療の効果は、日常生活を普通に送れるようになるというものて゛あり、就労できるレベルまで回復させるものではありません。日常生活と仕事ができるレベルは相当開きがあり、退院して翌日から出勤するというのはあり得ません。退院後しばらく外来通院する必要があります。医者のセールストークで、入院する必要性に乏しい軽症の患者さんが、入院すれば働けるようになると考えるのは過剰な期待となります。自宅より病院がゆっくり休養できると思いますか、僕は自宅が一番ゆっくりできます。(夫婦仲が極端に悪い場合などは、確かに病院が居心地が良いという場合もあると思いますが。)

 

うつ病と診断された方の仕事上の負担を減らし、休職を防ぐことは患者さんだけでなく雇用者側にとっても利益になると考えてください、今で言うwin-winの関係です。



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