リタリン処方が違法?
本日テレビニュースを見ていましたが、リタリンを処方したのとのことで医者が逮捕された報道を見ました。正直に申し上げますと精神科・心療内科の開業医をしていますとリタリンに関しては避けて通れない薬品であります。電話で「リタリンは処方してもらえますか」、「ナルコレプシーですけどリタリンは出してもらえますか」などと患者さんより直接問合せがあることも少なくありません。すぐに薬物依存者であることがわかりますので当院ではきっぱり断ることにしています。リタリンは元来、うつ病やナルコレプシー、ADHD(ADHDに関しては長期間、健康保険使用適応外とされ、厳密には役所の作ったルールには違反して処方されていたことになります)の患者に処方されている薬です。覚せい剤の系統の薬でもあり、一部そうした犯罪行為に利用されてきたというのも事実だと思います。
しかし、ここで問題になるのはリタリンの乱用ではなく、リタリンの使用が困難になることです。役所のいつものワンパターンの発想で、医師免許を持っている者に対してもリタリンの処方が困難になるようにして規制を強化することが善であり、それが自分達の仕事と勘違いしていることです。毎日のように厚生労働省、社会保険庁の不作為、もしくは悪意による被害者が続出しているとのマスコミ報道があります。現時点では薬害肝炎、エイズ、年金問題等のことですが役所のやっていることが全くチグハグ、不合理、悪意、自己保身だと思われます。本当に全く逆のことを国民に強制しているわけです。
発達障害の子供達に対して対応できる医者が少なく、診察を申し込んでも初診までに何ヶ月も待たされて困り果てている患者さんのご両親がたくさんいることを知っています。こちらも発達障害となると一生の問題となる疾患であり、確定診断やリタリンの処方は控えているのが現状です。
そうした状況に配慮なく、規制強化を目的とした対応は悪影響をもたらします。リタリンが必要な患者さんに対しても、役所の規制強化が実施されれば当方のような発達障害の専門医ではない精神科医にとっては現実使用できなくなります。精神科医でもそうした状況ですから小児科医・内科医にとっても同様ではないかと思います。
シンナー中毒の人がいるからといって、シンナーを使用できなくするのと同じ発想です。そうしたナンセンスな行政担当者は辞表を提出して欲しいと思いますし、役所の施策が子供の発達障害の治療に関しては大きなマイナス要因となります。