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発達障害の診断
2017年11月26日 [心療内科・精神科]
 発達障害に関しては近年トピックな問題となっています。学校教育、家庭問題、司法・犯罪でも重要なテーマとして考えられています。 しかし、有効な治療法はなく、確定診断ができないことは精神科医でも意見の統一ができていません。 発達障害の病名自体、間違った印象を与えていると思います、英語の日本語訳ですから仕方ありませんが。患者さんの中には発達が遅れているだけでそのうち追いつく、治癒すると思っている方及びその両親も少なくありません。 現在診断・検査で実施されている知能テスト、発達テスト、生活歴聴取等では確定診断できません。なぜならば発達障害の症状は認知機能だけではなく予想以上に広範囲で脳幹レベルもの症状も含まれ、かつ現代病でなくずっと以前から存在し、犬や猫、猿にも存在する脳の機能障害であるからです。 

 私の今までの臨床経験から推測できることをまとめますと、以下のようになります。
 @発達障害の方は意外と社会適応が良く、場合によっては成功者となっている。 
 A普通という概念が数値化できず、診断は曖昧とならざるをえない。 
 B現在一番重要な診断法として知能検査が実施されているが、精度が低く精神科以外では使用できないレベル。偽陽性と偽陰性が大きく信用できない。統計学的にも甘い判断が使用されている。例えばインフルエンザの検査で精度が50%程度の確率ならば、あなたはお金を払って検査を受けますか。 
 C認知機能の障害である。これに関しては知能テストがある程度有効である。記憶力に関しては過剰も問題となる、発達障害の方は忘れられず悩むことが多い。 
 D人格面の問題である。人格テストがある程度有効である。しかし、原因論に関しては全く無意味。 
 E感覚機能の問題である。聴覚、視覚、嗅覚、痛覚、味覚等の問題が大きい、しかし現在ほとんど検査できない。  
 F自閉症とADHDはその境界がなくほとんど場合合併している、精神科医が境界を作ったに過ぎない。 
 G自律神経症状等、脳幹レベルの障害が多く認められるがその検査はほとんどできない。慢性的な疲労感、体調不調、痛みなど臨床的には多い。 
 H心理学的な考察はすべて二次的症状に関するもので、発病原因の説明とはならない。 
 I遺伝子レベルでの診断法が確立できなければ、確定診断できない。 
 J現時点では経験豊富な精神科医等の主観的判断が重要である。これはすべての精神疾患と同様である。 
 K発達障害はすべての精神疾患の原因、基礎疾患である。当然統合失調症を発病する確率も高くなる、それで発達障害と統合失調症の鑑別は重要であり、困難な場合もある。  
 L対人関係の問題、犯罪等に大きく関係する人格障害は発達障害に含まれる、部分集合である。人格障害も結局は脳の機能障害である。   

  これは、すべて僕の個人的臨床経験に基づくものであり、現在の精神医学では認められていません。僕のオリジナルな見解です。  

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