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24歳以下には処方できない?
2017年11月26日 [心療内科・精神科]

 最近製薬会社からのうつ病の薬の使用上の注意が、厚生労働省の指示に基づき改定され各医療機関に通知文書が送付されています。パキシル、トレドミン、ルボックスなど外来治療で最も多く使用されている薬に関しては全部です。実は以前より18歳未満の方には自殺願望、自殺企図のリスクを高めるという理由ですでに注意事項に明記されていたのですがそれが24歳まで拡大されたわけです。

 

 インフルエンザの治療薬としてタミフルが多用され、次に副作用として精神状態異常の副作用がクローズアップされ、その使用が半減するとの新聞報道がありましたが同様の構図です。

 

 当院を受診される方で24歳以下で自殺願望、自傷行為を主訴として受診される方も少なくありません。そうした方にそのリスクを高める可能性があるとはやはり説明困難です。十代、二十代の方でもうつ病になる方も少なくなく、そうしたうつ病の薬が処方できないとなれば治療上大きなマイナスとなります。もちろん思春期・青年期のうつ病患者は抗うつ薬を使用しなくても、環境の調整・カウンセリング・両親に対する教育的指導等で十分効果があることも経験しているところです。

 

 しかし、それでもどうしてもうつ病の薬を使用しなければならないことも少なくありません。当院に製薬会社より送付された文書を誤解のないように公開します。

 

 「抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたってはリスクとベネフィトを考慮すること。」と記述されています。

 

 考えてみると当たり前の内容ですが、もし患者さんの自殺・自殺未遂が起きたりしても厚生労働省、製薬会社の責任が回避され、当事者である第一線の医師に責任転嫁できる内容とも受け取れます。

 

 この通知と同時に製薬会社は日本を代表するような精神科医の見解として、「実は薬の副作用で自殺のリスクが高まるわけではない。」との内容の文書も送付してきます。全く矛盾している行動と思いのますが、当方も同意見ですので当院では従来どおり処方するつもりです。

 

 まさしく同じ時期にフィブリノーゲンの投与による副作用で肝炎となった方々の国の責任を問う裁判について連日報道されています、これはまさしく国、旧厚生省の怠慢、悪意による不作為と思いますが役所は責任を認めようとはしていません。フィブリノーゲンに関しては何十年も放置していたくせに、うつ病の薬に関してはその逆で過剰防衛をします。

 

 いつものことですが役所、役人、行政の存在自体がわが国の大きな問題と思います。

 


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