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精神疾患は脳の病気
2018年07月22日 [心療内科・精神科]
 精神疾患の治療に薬物療法を実施することがほとんどですが、中には精神薬に対する抵抗感、不安感、依存性等を理由に拒否される患者さんもおられます。当院ではそのような患者さんに対しては無理に処方することはありません。多分患者さんにとっては毒を飲まされる感覚だと思うからです。

 実は精神疾患は「脳の病気」であり、心の病気ではありません。そう説明すると納得しない患者さんもいます。心の問題に薬が効くはずがないと反論される方もいます。

 認知、感情、理性、意識、意欲等が脳の働きと考えている方がほとんどですが、それ以外の役割の方が重要で多いかと思います。医学部の解剖学の講義で脳の構造を勉強します、その中に「脳幹」というものが脳の深部に存在することを学びます。心はおそらく脳の表面の大脳皮質に存在すると思われ脳の一部に過ぎないのです。脳幹はさらに間脳、中脳、橋、延髄に分類されます。脳死は脳幹が死んだ状態であり、人体にとって一番大切な部分です。天才脳外科医でも治療することがほとんと゛できない部分です。

 脳幹には自律神経中枢、睡眠中枢、摂食調節中枢、体温調節中枢、情動行動(怒りや不安)中枢等の生命維持のため絶対必要な中枢が集まっています。さらに視覚や聴覚などの様々な感覚情報を大脳皮質に伝えています。

 うつ病等の精神疾患における眠れない、食べられない、不安感、イライラ感、食べすぎる、動悸がする、疲労感・だるさ等の症状は脳幹が大きく関与しています。

 脳幹は自分の意志ではコントロールできません。脳幹レベルの問題を効果的に治療できるのは現時点では薬物療法だけです。

 心理学に基づく認知行動療法等の精神療法がほとんど効果がないのは当然です。精神疾患は脳幹を含む脳全体の病気であり、従来の心の病気ではないということです。医学的根拠に基づく治療ができるようになることを、若い精神科医に期待します。

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